本記事では、ラストワンマイルについてと物流業界が抱える問題、そして問題の解決に効果的な取り組みや便利なアプリケーションについて解説します。EC担当者にできる取り組みも多いため、昨今の物流業界を取り巻く問題に悩んでいる方はぜひご覧ください。
ラストワンマイルとは
ラストワンマイルとは、荷物が集配所から配達先まで届くまでの区間のことを指します。物流における最後の区間という意味でラストワンマイル(最後の1マイル)です。
ECサイトなどWeb通販事業において、エンドユーザーへ直接荷物を届けるラストワンマイルの配達ドライバーは重要な役割を担っています。
ラストワンマイルが抱える問題
物流業界では今、ラストワンマイルが危機的な状況にあるといわれています。ラストワンマイルを取り巻く問題は主に以下の2つです。
- 人材不足・配送荷物の増加による業務の重労働化
- 受取人不在による再配達の発生
ここでは、ラストワンマイルが抱える問題について解説します。
人材不足・配送荷物の増加による業務の重労働化
現代では、配達する荷物が多くなっている一方で配送ドライバーが不足する状況が続いており、ドライバー1人にかかる負担が大きくなっています。
政府機関による道路貸物運送業の運転従事者数(運送ドライバー)に関する調査では、運転従事者数は1995年の980万人をピークに徐々に減少傾向にあることが発表されています。なお、同資料では2030年にはピーク時のおよそ半数に及ぶ見込みとされています。
※参考:我が国の物流を取り巻く現状と取組状況 | 経済産業省・国土交通省・農林水産省
また、経済産業省によるEC市場規模の推移を表したデータでは、2010年からおよそ9年で市場規模が2倍以上にまで増加していることが明らかになっています。加えて、市場の成長率は2010年から2019年まで一度も衰えていません。
上記2点の資料から、物流業界では商品配達の需要が増える一方で、配送側の供給が追いつかなくなってきているのです。
※参考:令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業 (電子商取引に関する市場調査) 報告書 | 経済産業省
受取人不在による再配達の発生
配達ドライバーにとってより大きな負担となっている要素が「不在配達・再配達」です。注文したにも関わらず自宅に受取人がいないケースが近年増加しています。
以下は国土交通省が調査した再配達に関するデータです。
令和2年10月から令和4年にかけて、荷物個数における再配達の割合がおよそ11%にものぼります。これは荷物10の内1個以上は再配達になっていることを意味します。
物流業界の法改正とラストワンマイルの関わり
ラストワンマイルが抱える問題を解決すべく、国による法改正が近年進んでいます。ここ数年で実施された法改正といえば以下の2つが代表的です。
- 規制改革実施計画
- 働き方改革関連法
「規制改革実施計画」とは、経済の活性化を目的としてさまざまな法案を緩和・強化・撤廃する施策です。物流においては、配送業務に関する労働環境の整備や軽自動車での配送を許可する取り組みについて記載されています。
「働き方改革関連法」は、労働者がそれぞれの事情に応じた働き方を選択できることを目的とした、労働に関連する法律です。物流業界においては時間外労働の上限規制や割増賃金の増加が適用されます。
このように現在、国による法改正や企業努力によって、配達業務の環境整備や待遇改善が進行中です。ただ一方で、法改正によって生じる「物流の2024年問題」という新たな問題も懸念されています。
物流の2024年問題についてはこちらをご覧ください。
ラストワンマイル問題に効果的な取り組み
ここでは、ラストワンマイルが抱える問題の解決に効果的な取り組みについて解説します。
置き配・コンビニ受け取りの活用
配達ドライバーの業務負担を増やしている不在配達、再配達を解決する方法が、置き配や店舗受け取りの導入です。置き配やコンビニ受け取りなら、受取人本人がいなくても荷物を確実に配達できます。
具体的な対策方法は以下の通りです。
- ECサイト上で置き配やコンビニ受け取りの配達方法を追加
- 宅配ボックス設置のスーパーや住宅の拡充
再配達件数が減るだけでドライバーにかかる負担は大きく減ります。
ECサイトのユーザビリティ向上
ECサイトで配送設定の自由度を上げることも効果的な取り組みです。
具体的な機能として以下の2点が挙げられます。
- 注文時に置き配か受け取り配達か選べる
- 配送日時を細かく指定できる
注文者の中には「本当は置き配がいいんだけど選択肢がないから仕方ないか…」「この日のこの時間なら家にいるんだけど時間指定できない…」こう思うユーザーは少なくありません。
消費者ニーズに添う意味でも、配送設定のユーザビリティ向上はECサイトにとって有用です。
ラストワンマイル問題の解決に役立つShopifyアプリ
ここではラストワンマイルが抱える問題の解決に役立つ、and.dの提供するShopifyアプリを3つご紹介します。
配送日時指定.amp
「配送日時指定.amp」は、商品の配送設定時に配送日時を指定できるようにするアプリケーションです。
配送日時を商品購入者の希望に合わせることでより確実、柔軟な配送が可能です。また、本アプリを導入すれば配送方法に「置き配」を設定できるようになります。ECサイトのユーザビリティ向上にも役立つので、ぜひご検討ください。
配送料カスタム.amp
「配送料カスタム.amp」は、配送地域や発送方法などのさまざまな条件に合わせて配送料をカスタマイズできるアプリケーションです。
本アプリを使えば、置き配の場合は送料を割安できる条件を設定するなどラストワンマイルに配慮した料金設定も可能です。配送料を個別に設定したい場合は、ぜひご検討ください。
テイクアウト&デリバリー.amp
「テイクアウト&デリバリー.amp」は、飲食店を始めとした、テイクアウトもしくはデリバリー注文を受け付けている全てのストア様にご利用いただける、ユーザーの居住地に基づいてテイクアウトやデリバリー注文を受け付けられるようにするアプリケーションです。
本アプリを使えば、サードパーティのデリバリーサービスを介さずに、独自のルートと料金設定でレストランのテイクアウトビジネスを展開できます。競合との差別化が図れるので、売上アップや顧客満足度の向上につなげられるでしょう。
▶︎テイクアウトデリバリー.ampのダウンロードはこちらから
まとめ
本コラムでは、ラストワンマイルとはなにか、またラストワンマイルが抱えている問題とその対策方法について解説しました。ラストワンマイルを取り巻く問題の解決には、配送業者とECサイトの運営者の協力関係が欠かせません。物流のパンクを防ぐため、EC担当者はできる対策から取り組んでみてはいかがでしょうか。